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2022.07.26

第2節 中医学から考える整膚 まとめ

整膚の基本理論は、皮膚をひっぱることによって内臓の調子を整え、陰陽のバランスを取り、気血(気:エネルギー、血:血液)の流れを良くするということである。

陰陽論

中国古代からの自然哲学思想。太陽を「陽」その影を「陰」とし、自然界のすべてのものは、この「陽」と「陰」の性質に分けることができるとした考え。上下、明暗、動静、熱寒など相対対立的、相互依存的に存在している。中医学では、人体のバランスを考えるうえで欠かせない理論である。

(1)疾病伝変の経路

中医学には、古代からの人体に対して様々な認識があり、現代医学と異なる点が多い。なぜならその当時の科学技術の発展に限界があったためである。中医学は、西洋医学の理論システムとは異なり、抽象的、哲学的な医学である。

病邪侵入の伝変経路

表皮→真皮→皮下組織(経絡)→血脈(血管)→脂肪→筋肉・腱→六腑(胆・小腸・三焦・胃・大腸・膀胱)→五臓(肝・心・脾・肺・腎)

整膚は、皮膚を「ひっぱる」ことが基本手法で、ひっぱられるのは、表皮から血脈までの間の部分であり、この部分は、病邪侵入の最初の部分であり伝変ルートの最初の壁である(口鼻を経ても侵入する)。

(2)衛気学説から考える整膚

中医学の理論の中で、「気」の学説は重要な内容である。「気」は、人体を構成し生命活動を維持する基本的な物質であると考えられている。

衛気は滑らかな気で、表皮と血脈の間にある「気」で病邪を防衛し排出する。

整膚の刺激は、衛気の機能を活性化する。

(3)経絡学説から考える整膚

経絡学説は、人体の経絡系統の生理機能と病理変化および臓腑の相互関係を研究する学説であり、陰陽五行学説・臓象学説、気・血・津液学説と同じように中医学理論本来の重要な組成部分である。

整膚は、皮膚をひっぱることにより表皮直下に分布している経絡を刺激し、経絡を通じてその刺激を内臓まで伝達する。

衛気は、経絡の中に密集している。

*経絡の詳細は、まだわからない。しかし、確かに存在する特別な生物系統だと考えられている。

(4)整膚の防治原理

整膚は、経絡と経穴を刺激することにより、経絡の病理障害を取り除き、正常な状態に回復させ、運行障害により生じた病理反応を除去する作用がある。これが「疏通経絡(経絡を疏通させること)」「調和気血(気血を調和させること)」の作用により生じる整膚の効果である。

中医学では、多くの疾病の発生・進行・変化は、経絡気血の流れの状況と密接な関係があると考えている。整膚の疏通作用と調和作用は、広い範囲に対応できる。特に病気の予防、慢性病、老人病などに優れた効果がみられる。

例えば痴ほう症の場合、気血不足、腎虚などの弁証に基づき「補法」を用い、主に膀胱経、督脈を整膚して陰陽のバランスを保つことにより、多くの人の臨床症状が改善された。

整膚の手法は、求心性(心臓から遠い箇所、手先や足先から)遠心性(体の中心から手先や足先に)両方の順番を用いる。

*現在整膚は、気相の発見により気相中心の手順で行う。

次回は、第3節 西洋医学から考える整膚のまとめを掲載します。
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